青い記憶

校舎と体育館棟の間にある人通りの少ない階段に並んで座る。



1年生の頃に見つけた場所で、2人で弁当を食べる時や、準備からこっそり抜け出した時は、決まってここに来る。



「あ、晴くんに報告があるの!」



「なに?あー、ついに蓮に惚れちゃいましたとか?」



冗談めかして睨みを効かせてくる晴くん。



「バカ。そんなこと言って本当だったらどうするの?」



「えー、まずー蓮のこと殴りにいってー」



「もういいよ」



笑って晴くんの肩を小突いて話を止める。



「で、なんだよ報告って」



「あのね、居酒屋の面接受かった!」



「まじで?!よかったじゃん!」



パアッと笑顔になる晴くん。そんな晴くんの笑顔を見ると余計に嬉しくなる。



一週間前に受けた居酒屋のバイトの面接。昨日受かったと連絡がきた。



晴くんはバスケ部で忙しくしてるけど、私は部活にも入ってないし帰っても時間を持て余すだけだから、新しく人間関係も作ってみたくてバイトすることに決めた。



電車で30分くらいの所にあるけど、時給もそれなりに良くて、交通費も出るからそこを受けることにした。店長さんも優しいしお店の雰囲気も良かったから、あそこで働くのが今から楽しみで仕方ない。


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