青い記憶

そうして充実した日々を送り、文化祭前日。



今日は晴くんと1年記念日だ。



前日は晴くんの部活も無いし、私もバイト入れてないし、学校もお昼で終わってその後は自由解散だから、お互い準備は早く済ませようねってデートの約束。



みんなには申し訳ないけどこっそり教室を抜け出して晴くんの教室に向かう。



「はーる…く…ん」



晴くんを呼ぼうと勢いよく教室を覗いたけど、目に飛び込んで来た光景で一気に勢いが落ちる。



晴くんが女の子たちに囲まれて座ってる。楽しそうに何か話してるけど廊下も教室も騒がしいから内容までは聞こえない。



何よりも衝撃だったのが、晴くんが普通に女の子の頭を触ってたこと。丸めたテープを女の子の頭にひっつけて、女の子は少し照れながら「も〜」なんて言って晴くんにテープを付け返す。



去年の文化祭の後、晴くんが私にテープをつけてきた光景がフラッシュバックする。



こんな光景を見たのは初めてだからどうすればいいのかわからなくて硬直したまま。



「あれ、亜美?何してんの?」



いいタイミングで美優が通りかかった。だけど言葉がでてこない。



「多野くんとデート行くんでしょ?呼ばないの?」



そう言って教室を覗いた美優も一瞬固まったけど、すぐに声を上げた。



「おい!多野!亜美待ってるんだけど!」



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