青い記憶
かがみ腰になって顔を覗かれる。
俯いて前に垂れている自分の髪の隙間から、晴くんの心配そうな顔が覗く。
そんな顔されたら、今すぐ飛びつきたくなっちゃう。
「亜美、話してよ」
「…やきもち」
「え?」
振り絞ってやっと出した声は、俯いてるせいもあって上手く晴くんに届かない。
思い切って顔を上げ、晴くんを見上げる。
「やきもちやいたの。晴くん女の子に囲まれてたし、しかもテープ…」
そこまで言うとまた俯いてしまう。自分で思ってたよりも結構ショックを受けてるみたいで、話そうとすると思い出して落ち込んでしまう。
すると晴くんに腕を引っ張られ、抱きしめられた。
「ごめん、亜美。俺が甘すぎたよ。言い訳に聞こえるかもしれないけど、本当に亜美以外の女子には何とも思わないから、普通に絡んでたけど、そりゃ、亜美が見たら嫌だよな」
晴くんが腕に力が入るのがわかる。こんなに晴くんの思いが伝わってくるのに、少し考えればわかることなのに、あんなことで妬いてしまった自分が恥ずかしくなってきた。
「そうだよね、あんなことでやきもち妬いてごめ…」
「亜美が謝らないで。全部俺が悪いから。亜美のこと傷つけて謝らせるとか俺最低だよ。まじ女子の頭に触ったのはどうかしてた。本当にこれから気をつけるから。本当にごめんな」
私を抱きしめたまま何度も謝ってくれる晴くん。1年の時、水道で吉野に絡まれた後何度も謝ってくれた晴くんを思い出す。
晴くんが愛おしい。
晴くんの胸にひっつけていた顔を上げ、少し晴くんと距離を取る。
肩に回されてた晴くんの腕が距離をあけたから腰に下がる。
そのまま晴くんの顔を見上げる。本当に申し訳なさそうな顔をしてる。可愛すぎるよ。