青い記憶

ショッピングモールでデートした後は、やっぱり秀さんと美咲さんのカフェ『ミシュー』へ。



「こんにちは〜」



晴くんと手を繋いだままお店に入る。



「わ〜!亜美ちゃんと晴之くん!久しぶりね!手なんか繋いじゃって〜、今日は2人?」



美咲さんが飛び切りの笑顔で迎えてくれる。デート自体久しぶりだからミシューへ来るのも久しぶり。



「はい。実は今日で私たち1年なんです」



「え、そうなの?!おめでと〜!!」



いつものようにカウンターに座りながら私が報告すると、驚いた顔でお祝いしてくれる美咲さん。すると美咲さんはカウンターの奥に入って行き、暫くして秀さんと一緒に出てきた。



「晴之、亜美ちゃん、いらっしゃい!」



「秀さん!お久しぶりです」



秀さんも笑顔で迎えてくれる。



「今日1年記念日なんだって?おめでとう。これ、俺と美咲からの些細な気持ちなんだけど」



そう言って秀さんが出してくれたのは、ミシューの看板メニューのショートケーキだった。直径10センチほどのミニサイズ。


真ん中には『 Haruyuki & Ami 1year Anniversary 』と2段に渡って書い手あるチョコレートがのっている。



「すご〜い!ありがとうございます!」



「これは、俺たちからのお祝いだから、もちろんサービスだよ」



サービスって?

晴くんと2人で顔を見合わす。



「お金はいらないってことよ」



美咲さんが他のお客さんに聞こえないように小声で言い、私たちにウインクをした。



「本当にいいんですか?!」



「いいのいいの、私たちの仲じゃない」



そう言ってにっこり微笑む美咲さんと秀さん。



「本当にありがとうございます」



2人で何度もお礼を言って、ショートケーキを食べた。



秀さんと美咲さんには、ずっと見守ってもらってきてたから、こうしてお祝いしてもらえるのは本当に嬉しいし、同時に大きな感謝を感じる。



こんな素敵な人たちに出会えて、お祝いしてもらって、私たちは本当に幸せ者だね、晴くん。



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