青い記憶
今年の文化祭も去年と同じ6人でまわった。
「今年は一応まだ亜美と多野くんは付き合ってなかったもんね〜」
1年生がやっているカフェに入り休憩していると去年の話になった。
晴くんも私もお互い意識しあって少し緊張気味だったあの初々しさが懐かしい。
「しかも俺ら全員1年いってんじゃん!すごくない?」
森本くんが声を上げ、みんな「そういえばそうだね〜!」なんて言ってる。
付き合ってる長さにはあまりこだわらないメンバーが揃ってるから、森本くんに言われるまで気がつかなかった。
「じゃあ、お祝いの乾杯しよ!」
「え〜、もう飲みかけだよ〜」
「いいじゃんいいじゃん!みんなコップ持って!」
美優に言われてみんな飲みかけのジュースが入ったコップを手にする。
「誰が仕切る?」
コップを持ったはいいけど重要な乾杯の音頭をとる人が決まらない。
「はい!立候補制で俺!」
「却下」
森本くんが勢いよく手をあげたけど美優に食い気味に制された。
「ここはやっぱり昨日記念日だった多野くんでしょ」
琴音の言葉で一斉にみんなが晴くんの方を向く。
「え、俺?亜美じゃなくて?」
自分を指差して驚いている晴くん。困ったように私の方を見るけど、私は全力で首を横に振る。
「彼女に仕切らせんのかよ、多野〜」
「そーだそーだ!!」
原口くんの野次に便乗する美優。
晴くんは渋々わかったよと言い、コップをテーブルの真ん中で掲げた。
みんなもそれに合わせてコップを中心に掲げる。
「じゃあ、これからのみんなの幸せを祈って。これから先も、みんなで仲良く幸せに過ごせますように!」
「「「 カンパ〜イ!」」」
私たちは、これから先の変わらぬ幸せを疑いもせず、キラキラ輝く今を必死に生きていたね。
あの頃の私たちは、今では眩しすぎるほどだったね