青い記憶

その日、結局雄ちゃんとは話さないままバイトを終えた。



というか、私が避けてしまった。




もちろん、雄ちゃんが嫌なわけじゃない。未練があるわけでもない。



ただ、あのころ何も言わず、突然冷たい態度を取って、突然避けるようになって、きっと雄ちゃんを傷つけてしまったから。



今更どんな顔をして接すればいいのかわからないんだ。



所謂、罪悪感。




「そういうことね〜。私が雄大くんの立場だったら普通に声かけてほしいと思うけどな」



帰ってすぐに琴音に電話して、今日の話を聞いてもらった。



琴音が言うには、自分が雄ちゃんの立場だったらもう気にしてないし、実際本人も気にしてないと思うよ、って。


私も琴音の言う通り、そう思う。


雄ちゃんは本当に優しい人だから、冷たい態度をとったことも、あからさまに避けたことも、怒ってはないと思う。



だからこそ、逆に雄ちゃんは、私がそんな態度をとるようになったのは何か自分のせいなんじゃないかと責任を感じてそうで、それが怖いんだ。




逃げてる場合じゃないんだけど、久しぶりに会うとそれなりに緊張してしまうし。どう話を切り出せばいいかわからない。



私の臆病は相変わらず治っていないんだ。

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