青い記憶
「亜美!」
「わっ」
後ろから晴くんに抱きつかれた。体操座りで、晴くんの足の間にすっぽり埋まる体制になる。
「またボーっとしてただろ?」
「ごめんごめん」
せっかく晴くんの家でお家デートなのに。こんな時まで雄ちゃんとのことをどうしようか考えてしまう。
「…やばい、末期だ」
「どうした?亜美」
晴くんだけには心配かけちゃいけない。
笑顔で、なんでもない!と答えたけど、晴くんは黙ったまま私から離れようとしない。
「亜美、最近なんかあったろ?」
「…え?」
「ずっと考え事してる。見たらわかるよ。何があった?言ってみ?」
耳元で優しく囁く晴くん。背中に密着する晴くんの厚い胸板に、胸の前に回されたたくましい腕。温もりが心地いい。
この温もりを手放したくない。
「何にもないよ」
「あーみ?」
体をくるりと回され、晴くんと向かい合わせになる。
じっと目を見られる。なんか心の中を読まれてるみたいで思わず目を逸らしたくなるけど、疑われたくないから必死に見つめ返す。
「本当に、何も…」
「あるだろ」
晴くんの強い眼差しに言葉が詰まる。