青い記憶
「さっきも言ったし、あーちゃんもあの頃から気づいてたと思うけど、俺あーちゃんのこと好きだったからさ、本気で狙ってたんだよ。
だけど避けられるようになって、最初はそれでも頑張ってたけど、あーちゃんの意思かたそうだったし諦めたんだ。
で、そこに元カノの奈帆が寄ってきて、そん時なかなか弱ってたからさ、あっさりヨリ戻しちゃったんだよ」
昔の思い出が鮮明に蘇る。あの頃の気持ちを思い出し、また少し切なくなる。
「でも、あいつにはやられたわまじで。完璧つけこまれたよな〜」
…つけこまれた?どういうこと?
「ある日聞こえたんだよ。奈帆と奈帆の友達の会話が。会話の中に亜美の名前が出てきたから盗み聞きしてたの。そいつら俺が近くにいるの全然気づいてなくてさ、そのまま隠れて聞いてたら、
『亜美って子、私らの会話聞いてあっさり竹富のこと諦めたよね』
『ちょろすぎて笑っちゃうよ。作戦大成功だね』
って悪魔みたいに笑ってた。まじで頭ん中真っ白になったよ。俺もあーちゃんもあいつらの作戦にまんまとはめられたんだ。
だけど知った時にはもう遅かった。受験近づいてたし、勉強に専念するようになって、それどころじゃなくなって。
結局それでバイバイだった。
俺それで初めて泣いたんだよ。失恋して泣いたの初めて。まじでこんな最悪な終わり方ないよって。漫画かよって。
奈帆のことはその会話聞いた次の日にすぐ振った。泣いてごめんなさいって謝られたけど、あんなに女の涙になんの情も湧かないことにびっくりしたよ」
雄ちゃんの話に自然と涙が溢れる。
「あーちゃん、あいつらが怖くて俺のこと避けたんだよな。そりゃ怖かったよな。俺こそ、あの時早く気づけなくてごめん。守ってやれなくてごめんな」
雄ちゃんが私に向かって頭を下げてくる。
謝らないで。誰も悪くないよ。
嫉妬は怖いね。未練は怖いね。だけど仕方ないことだよね。みんな相手のことを本気で思ってたからこそ、思いすぎてたからこそ、こんなことが起きちゃったんだ。
誰も悪くない。こういう運命だったんだ。