桜龍の奴等
「……うっ。」
爽は立ち上がろうとしたが、全身に痛みが走り そうはできなかった。
「お前も怪我を負ってるんだ。
絶対安静を条件に 入院を免れているんだ。
大人しく寝てろ。」
仁は爽に優しく布団をかけた。
「色々なところを縫ってるから、下手に動かないでくれ。
頼む、色々な大人に無理を言っているんだ……分かってくれ。」
「……。」
内心、悔しかった。
自分が招いた事なのに、他人にばかり迷惑をかけていて……。
「仁⁇俺は、守らなければならないものを守らなかった。
だから、取り戻しに行ってくる。」
痛む傷口を無視して、爽は立ち上がる。
「……ンッ」
ドンー
仁は爽を押した。
ベッドの上に座り込んだ爽。
「……っすんだよ、仁‼︎」
爽は大声を出した。