桜龍の奴等

仁のサポートを断った。

「……マジかよ、爽……無茶はするな。」

"もうすでに、無茶してるけど" 内心 そう思いながら、仁は爽に忠告をした。

バンっー
聴き慣れていないはずの音、だからこそ嫌でも音の正体が分かるものが鳴り響いた。

「……ッ。」

仁は左肩を右手で抑えた。

ドクドクと流れるのを辞めない血が、仁の服に吸い込まれていき、吸い込まれなかったものは 床にポタポタと垂れていく。

流石の爽も驚き、音の在処を探す。

「松井さん、俺はちゃんとノルマをこなしました。

では、黒蝶を抜けさせてもらいます。

今まで、ありがとうございました。」

「海斗……何してんだよ……」

爽は海斗をただただ見つめることしかできなかった。

「仕方ない、こうしなかったら 俺は黒蝶を抜けられなかったんだ。」

海斗はそれだけを言い、倉庫の外へ出た。

倉庫の近くから、パトカーのサイレンの音が聞こえる。
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