eternal destiny

「向流、歩けるか⁇」

「……無理、足が動かない。」

2人同時にかけられたおかげで、身動きがとれない。

口が動くだけ、まだ良かった。
コミュニケーションがとれるから。

足は、杭で打ち付けられたかのように 地面に張り付いて 動かない。

「なら、誰か 向流を担いでやれ。」

騎亜が辺りを見回した。
誰もいないだろうと思う、俺を担ごうとしてくれる人なんて。

もしかしたら、今 俺が "足動かない" と言ったのを 嘘だと思ってる人も居るだろう。

急に俺が暴れたら……俺を担いでいてくれた人を殺して逃走するかもしれない。

今、周りに居る奴等が考えているのはこんな所か⁇

「俺が担ぐ。」

名乗り出たのは、俺と同じ囚人服を着た 林猫だ。

そして、誰も何も言わないまま 林猫は俺を担いだ。

「林猫、悪い。」

「あぁ。」

それから、城に着くまでの数十分間 俺は林猫に担がれていた。

その数十分間、誰も何も 口を開いたりはしない。

ただただ、静かな集団。

俺はこれからのことを考えた。

城に帰れば、まぁ 牢屋……地下牢に入れられるだろう。

そして、準備が整い次第 裁判が始まる。

その時、俺は自分がGreatのリーダー Jokerであることを告白する。

そして……処刑される。

人生最後までの見通しがついている。

やはり怖い。逃げ出したい。
でも、逃げ出す術がない。

俺はただ、自分の首の上に降ってくる刃を受け入れるしか ないのか⁇
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