Destiny
―「よばないで。なまえ、きらいなんだよ」
「…初めて会った時、俺が付けたんです。
で、仲間内でそれが浸透して」
「ほう、そうでしたか。サキくんも言っていましたねえ。
昔からの友だちが付けてくれたんだ、気に入ってる、って笑っていましたよ。
なるほど、それは恭平くんだったんですねえ」
今ここにはいない懐かしい友人の面影を思い出し、
釣られて思い出しそうになった自分の過去は封じた。
「では、恭平くんは「キョウ」にしましょうか。
昔からの呼び名なのでしょう?」
「…はい。マスター」
「ではキョウくん、店内の掃除の仕方を一通り教えますね」
今度の仕事は続きそうだと、頑張れそうだと思った。