Destiny



迷惑をかけながら、まったく何をしているのか。

我が友人ながら呆れたものだ。


「着替えました。制服、お願いします」


響いたキョウの声にびくりと肩が跳ねる。

戻って来た彼は私服に着替えていて、
初めて会った時とも先程とも雰囲気が違っていた。

モノトーンにシルバーのアクセサリが目立つ、
シンプルなコーディネート。


「かっこいい…」


ぽそりと口から洩れていたことには気がつかなくて。

マスターとキョウの視線を浴び、顔が赤くなる。


「キョウくん、褒められていますよ」

「…ども」


照れるでも笑うでもなく、ただの返事という感じで頭を下げたキョウ。

それもそうだ。あのルックスなのだから言われて慣れているだろう。



< 29 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop