Destiny
「ケンさんにも、え~い!」
「やめろよ~!」
きゃっきゃとじゃれ合っているケンとケンゾー。
「…まったく、誰が後始末すんだよ、これ…」
仮にもここはバーであり、店。
自分の職場。
雇い主は早々に潰れて寝てしまった。
本当に4人しかいなかったのかと疑いたくなるような所にまで、
空き瓶やらグラスやら、おつまみが乗せられていた皿が散乱している。
「キョウ~、もっと飲めよお。俺ばっか酔って寂しいじゃんかー!」
「いや、十分飲んでるし…」
「キョウさ~ん、ノリ悪いっすよ!ほら、飲んで飲んで!!」
「ばっ、やめ…!」
それでも一番「ナイ」のは、
この状況を面倒だと思いつつも楽しんでいる自分だと思った。