Destiny
黒いパーカを羽織り、フードを被った。
「んじゃ、出かけてくる」
「お、仕事探す気になったか」
「んー、どっちにしろ今日紹介してもらう約束だったっつか」
「またホストか…」
「次はバーテンだってよ」
「ああ、まあそれなら…」
「晩飯は食うから」
「りょーかい。いってら」
「ん」
ご丁寧に玄関まで見送ってくれたケンに手を振り家を出る。
向かうのは、昔から馴染みの場所だ。
「いらっしゃ…お、キョウ!久しぶりだな!
あいっかわらずパーカ着てんのか、暑苦しいなあ」
「よ、マスター。老けたな」
「うるせ! もう来てるぞ」