Destiny



「あっ…ごめんなさ、っ」


じ、と見つめてみると、慌てたように顔を下へ向けた。


「あーごめんね、こいつ言い方きついけど怒ってないから。気にしないでね」

「ナナね、おいしそうに食べる人見るの好きなの。ごめんねキョウくん」

「…別に見てたいなら見ててもいいけど。
俺はただ、あんたが全然食わないで俺のこと見てるから気になっただけ」

「あっ…食べます!」

「ん」


キョウは黙々と目の前の料理を平らげ、菜々瀬はちらちらとキョウを見ながら少しずつ食べる。


「…あたし、この二人うまくいく気がします」

「ははっ、だといいね」


そんな簡単にいくわけはないんだけどなあ、というケンの呟きは誰も聞いていなかった。



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