Destiny
「ん?」
芹がケンを手招きする。
「あの美人、誰?!」
「ああー…説明難しいんだけど。端的に言うと、キョウの元カノ…かな?」
「元カノ?!」
ああ、やっぱり、と思う。
ショックはない。むしろ自然だと。
「座って。ボックスでいい?何飲む?」
「ありがと。じゃあ…ブラッディ・メアリーがいいな。
あ、ねえ、キョウが作るの?」
「あー…じゃあ、作ろうかな」
「ふふ、やった。楽しみにしてるわね」
キョウに手を引かれ歩いて行く彼女の残り香は、うっすらとしたバニラ。
「ナナ」
「んっ?!」