Destiny
「で、場所なんすけど」
ケンゾーはごそごそとバッグを漁り、一枚の紙と名刺を取り出した。
「はいっ、地図書いてみました!ちょっと入り組んでるっすけど、
隠れ家的バーって評判はいいんすよ。で、これマスターの名刺」
黒地に白い文字の名刺には、
「…芹沢(せりざわ)?」
「はい!マスター、苗字しか公表してないんす。不思議っすよね!
理由は聞いても教えてくんないんすけど。
ちょっと癖あるけどいい人っすよ。あのサキさんを手懐けた人っすから!」
―「サキ」
「…サキもここで働いてたの?」
それは、懐かしい友人の名前。