ハンバーガーと私とガールズラブ
 次の日、私はいつも通りに、家を出た。


 穂波ちゃんは、いない。


 ホッと安心した。


 家を出る前、制服のポケットにカッターナイフを入れようか迷った。


 また対決しなければならなくなったら……念のため。


 もちろん、またこれを出すことになっても、刃は出さないままだと思う。


 昨日も刃は出さないままだったし。


 だけど、どちらにせよ、カッターナイフを持って人と接するのは、すごく嫌だ。


 そう思ったら、カッターを持つのが怖くなって、結局、置いてきてしまった。


 多分、大丈夫だ。


 穂波ちゃん相手なら素手でも十分だし。


 私はそのまま学校に向かい、歩きながら穂波ちゃんに会わないことを願った。


 穂波ちゃんは学校に着くまで、一度も姿を見せなかった。


 途中、涼子さんと軽く挨拶を交わしたくらいで、何事も無く、普通に着いてしまった。


 教室について、やがてホームルームが終わり、授業が始まって。


 昼休みになって。


 それでも穂波ちゃんは来なかった。
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