ハンバーガーと私とガールズラブ
「ふふふっ。手も足も出ないで、マヌケね、穂波ちゃん。学校の成績が良いだけじゃ、そんなレベルよね」


「……」


 穂波ちゃんが口をつぐみ、それから言う。


「でも、涼子お姉さんには負けませんでした。最後には私の勝ちです」


 穂波ちゃんが、ボコボコに歪んだ顔で、にっこりと笑った。


「ん? 何言ってるのかな? 穂波ちゃんは? まだ殴られたり無いみたいだね?」


 もうやめてと、わたしは思った。


 でも、声が出ない。


 涼子さんが手を再び振り上げる。


 でも、声が出ない以上に、私はあえて黙ることを選んだ。


 部屋の入り口から……


 抜き足差し足で歩いてきたアイリが、手に持っていた何かの機械を、涼子さんの背後からそろりと近づけ、そして……


 一気に接触させた。
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