ハンバーガーと私とガールズラブ
 穂波ちゃんに誘われるがまま、私は屋上の入り口に来た。


 屋上、は施錠されいて外に出ることは出来ないけれど、入り口の前の踊り場はまさに穴場だった。


 ひと気が無い上に、静かな場所で、お昼ご飯を食べるのに十分なスペースがある。


 階段の下、遠くに誰かのふざけて笑う声が聞こえている。


「はい、先輩のお弁当です。」


 穂波ちゃんがお弁当の包みを取り出し、私はそれを受け取った。


 ずっしりしている。


 穂波ちゃんは穂波ちゃんで、ちゃっかり自分用の小さめのお弁当箱を持っていた。


私は包みを開けて、お弁当箱の蓋を開ける。


 すると……


「こ、これは……!」


 素晴らしい光景だった。


 先ほど伝えられた、チーズのかかったハンバーグ、タコさんのウインナー、たまご焼き。そして、何よりも……!


「大好きですよね、ポテトサラダ。」


 穂波ちゃんのその声で、私は顔を上げた。


 穂波ちゃんは照れているような、不安そうな、絶妙な表情をしていた。


「だ、大好きですよ。」


 思わず私も敬語を使ってしまう。


 穂波ちゃんは「良かった~」なんて言いながらにこやかに笑う。


 ぬうう、なんと言うことだ。


 私の好きなおかずばっかりじゃないか。
< 18 / 166 >

この作品をシェア

pagetop