ハンバーガーと私とガールズラブ
「あんた……!」


 私は悔しくて涙がボロボロと出てきた。


 迷惑って何だよ、それ。


「あんた、あのお弁当がただのお弁当だと思ってんの!? 一生懸命、色んなこと考えて作ったんだよ?」


「だからだよ。だから迷惑って言ってんだろ?」


 荒井はそう言うと視線を下げた。


 何を言っているんだこいつは?


「どう言う意味よ?」


「迷惑なんだよ。あんな気合入った弁当。俺、好きな奴いるのに。」


 後頭部をハンマーで殴られたみたいな衝撃が私を襲った。


「あ、あんた、もしかして、それ、エリにそう言ってお弁当断ったの?」


「ああ、そうだよ。」


「あ、あんな良い娘があんたのこと好きだって言ってんのに……」


「俺のこと好きだって、それも言われたよ。だから言ったんだ。好きな奴がいるって。誰が好きかも言った。」


 風が神社の木々を揺らしていた。


 ヒグラシだろうか。


 カナカナカナカと言う虫の声が聞こえる。


 生暖かい空気の流れ。


「誰よ?」


 荒井は答えない。


「エリよりも可愛くて良い娘なんて、いるわけないじゃん! 誰なのよ! 適当なこと言ってエリのこと傷つけて!」


 荒井はため息を一つつくと、私に言った。
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