ハンバーガーと私とガールズラブ
「待てって言ってんだろッ!」


 私の叫びと同時に、私の頑丈な額が荒井の顔を直撃した。


 ゴッと言う音とともに、荒井が鼻を抑えて倒れこむ。


 頭突きだ。


「荒井とは、お付き合い、出来ません!」


 私は何とかそれだけを言った。


 危なかった。


 こんなところで、乙女の大切なファーストキッスを奪われてたまるか。


 と思ってたら、私のスカートがずるりと落ちた。


 ……スカートのボタンが外されていた?


 信じられない、こいつ。


 頭突きをかまさなかったら、もしかすると本当に危ないところだったのかもしれない。


 荒井は私のずり落ちたスカートを見て「へ?」なんてマヌケな声を出してから慌てて「見てない」なんて言ったけど、こいつの魂胆は見え見えだ。


 悔しいけれど、私のパンツも見え見えだ。


「あんた、最低だよ。」


 パンツはバッチリ荒井に見られてしまったが、私はもう、荒井に情をかけることは無いだろう。


 スカートを直し、ってボタンが無い。


「ごめん、わざとじゃない。引っ掛けて、そのまま引っ張っちゃったみたいで。」


 荒井が私にボタンを返す。


 ……本当にわざとじゃないのか?


 いやいや、気は許せない。


 少なくとも、告白して、そのままキスしようとする男だったわけです。


 色恋の話は聞かない奴だったと思ったけど、こんな強引な奴だったとは思わなかった。
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