ハンバーガーと私とガールズラブ
私と貴女とファーストキッス
           ☆


 救急車を呼んでからが大変だった。


 荒井はなんとか意識を取り戻し、私のスカートを掴んだ。


 左手はどう見ても折れているので、右手で。


 スカートが完全にずり落ちたけど、私は気にしなかった。


 それどころじゃない。


「高田。ごめんな、俺。」


「いいから、喋るな、バカ」


「悪いことしたからかな。踏み外した感覚とか、全然無くて、誰かに足を引っ掛けられたみたいな気がして……多分、罰が当たったんだよ。米川神社の主に。俺、悪かったよ」


「わかったから。わかったから。」


 私は震えている荒井の手を掴んだ。


 じっとりと汗で濡れていて、少しだけ冷たい。


 そうしていると野次馬が集まってきて、人だかりの中から、誰かが飛び出してくる。


 エリだった。


「あ、荒井! な、なによこれ? き、キー子? どうしたの、これ?」


「荒井、石段から落ちたみたいで。」


「キー子、パンツ見えてる…… なんでスカート脱げてるの?」


「え? あ、これは、神社で荒井が。」


 そこまで言って、救急車が到着し、荒井は運ばれていった。


「キー子、神社で、荒井と、何してたの? 何で、荒井は石段から落ちたの?」


 そう聞いてくるエリの顔はすごく険しい表情だった。
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