ハンバーガーと私とガールズラブ
 私は、入ってきたのと同じように、D室の練習部屋から出た。


 受付のお兄さんが私を見ている。


「あ、あはは、く、クビ、だって。お、お世話になりました。」


「あ、はい。」


 私はお兄さんの前を歩いて、階段を降りる。


 階段のところに、メンバー募集のチラシや、連絡先の書いたチラシが何枚も貼ってあった。


 私はそれらの横を通り過ぎる。


 ……なんだか、おかしくなってきちゃった。


 なんでこんなことになっちゃったんだろ。


 私は楽器屋の一階部分を抜けると、自宅へ向かって歩き出した。


 全部、全部。


 全部、無くなっちゃった。


 私が、何をしたって言うんだろ。


 仲間って、こんなものなのかな。


「う……うう……」


 私はもう、我慢できなかった。


 涙が、後から後から溢れてきた。


 もう、前なんて向けない。


「先輩!」


 私の後ろから声が聞こえた。


 穂波ちゃんの声だ。


「先輩、どうしたんですか?」


「ほ、穂波ちゃ、ん。」


 歩道のど真ん中で泣いていた私は、ゆっくりと振り返る。
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