ハンバーガーと私とガールズラブ
 私はソファーから転げ落ちた。


「誰か、誰か! 誰か助けて!」


 苦しい。


 なんで、誰もいないの?


 先生は? 看護師さんは? お母さんもお父さんも、誰もいない!


 と、思ったら、急に身体がふわふわと空中に持ち上がった。


 そうだ、飛んで逃げよう。


 私は開いている窓へ飛んで、空に脱出した。


 そっかー、苦しくなったら、空に飛んで逃げれば良いんだ。


 嫌なこととか、何も関係ない、何にも無い空に。


 エリのこととか、バンドのこととか、穂波ちゃんのこととか、全部ちっぽけに見えてきちゃった。


 私はどんどん小さくなっていく街を見下ろしながら、空へ上っていった。


 ……って言うか、今気づいたけど、これ、夢だわ。
< 82 / 166 >

この作品をシェア

pagetop