ハンバーガーと私とガールズラブ
 荒井はさっきから同じことしか言わない。


 その一方で弟は、意見を譲らないようだった。


「いや、怪しいって。絶対。俺も、誰に押されたかわからないけど、それでも、夕月が一番怪しい」


 もう、何がなんだかわからない。


「……聞いてみる。直接。会って、全部」


 私はそう呟くと、ふらふらと廊下へ向けて歩き出した。


「姉ちゃん、気をつけろよ。本当に。あいつ、異常だよ」


 弟の、そんな声を聞きながら、私は廊下に出た。


 頭がパンクしそうだった。


 穂波ちゃんに、会わないと。


 話を聞かないと。


 病院を出て、私は家に向かった。


 学校に行けば、穂波ちゃんに会える気もするけれど、その前に、少し、準備しないと。


 本当に、穂波ちゃんが危ないなら、丸腰で話したくない。
< 89 / 166 >

この作品をシェア

pagetop