あまのじゃく
遅刻
さっき私がふんだおにぎり食べてる…。

「…いらない…」
と私は答える。
だって食べかけなんだよー?ってそういう問題じゃねえか。
ふまれたおにぎりをその場で食べるってどうよ?
あまりにもビックリして言葉が出てこない。

「そう」
そう言って、まだ半分残っているおにぎりを口にいれる。彼はたった2口でおにぎりを食べたのだ。

!!?
またしても目がマンマルな私をみて彼は
「遅刻してるけど大丈夫?」と言った。

ハッと我に返る。
遅刻はあんたも一緒でしょ!と思いながらも
「ごめんね今日は。じゃあ、」
と言って歩きかける。
「じゃあ、」
と彼は言うが、全く急ぐ気配がない。
もしかして、ケガしたのかな?
そう思って声をかける。
「学校行かないの?」
「だってもう遅刻やし、今いったら生徒指導の先生おるで。あと15分位したらおらんくなるけどな」と彼は言った。

生徒指導の先生ってめっちゃ恐い先生やん。どうしよー。私の顔がこわばったのをみて、「あと15分まってみー。いつもそうやし。」と彼は言った。

いつも??
「いつも遅刻してるの?」
「いつもではないけど、もう3回位はしてるかな」
「遅刻したら単位とかヤバくないの?」
「まだその授業では1回しかしてないから大丈夫やろ。出席はするし。」と彼は飄々と言う。
私は真面目ちゃんだから、先生には目をつけられないようにヒッソリしてきたタイプだったから彼みたいな人の考えはよく分からない。あまり深くかかわらないでおこう。

「あ、そうなの」と軽く聞き流した。
でも生徒指導の先生に怒られるのはやだなぁー。なかなか行けずにいる私をみかねて彼が
「一緒に行く?」と聞いてきた。
「ううん、いい。」と答える。
こんな遅刻常習犯と一緒に行ったら、それだけで目をつけられそうやし。先生も、正直に話したら分かってくれるだろう。
「じゃあね」
と歩き出した。
「じゃあ」と彼も言う。

朝から変な人だったなぁ。
そう言えば、名前も聞いてないや。と歩きながら思った。
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