成仏探偵!〜青年編〜
 「なんかあったらボタン押してよ。」
               看護婦はツカツカと病室を出ていった。青年は急に冷たくなったのを感じたが、あまり気にしなかった。
               「神楽幸子っと…」
               そう呟くと、青年は古くて分厚くて汚い手帳を取出した。そこには『成仏日記』と書かれていた。
               「今思えば、かなり成仏させてきたなぁ…。とりあえず、幸子さんのファイルを作らないと寝れないや。」
               ファイルを作っている途中、青年は疑問に感じた。それは、幸子のいた場所。なぜこの病院なのか?この病院で幸子自身が死んだわけじゃない。青年が見た記憶では、幸子は違う病院で亡くなっている。
               「この病院になにかあるのは間違いない。そして、幸子さんが亡くなって二日…。なぜこの病院に?僕なら…家にいるけどなぁ。」
               なにか手がかりが掴めそうだったが、青年は明日に備え寝ることにした。
   その頃、幸子はベンチに寝そべったままだった。そして、ボソっと言った。
               「やっぱ、寝れない…。」
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