成仏探偵!〜青年編〜
 時計の針はまもなく十時を知らせようとしていた。
               「便も快調だし、予定通り退院しようか?でもあまり激しい運動は避けて、ご飯も消化のいいものにしてくれな。」
               上沢は青年にそう伝えると、ナースコールを押して退院の準備をするようにと連絡した。
               「じゃ、お大事に。」
               上沢は一言そういうと、病室を出ていった。
               「あなたの病気、難病とか重い病気じゃなかったの!?」
               幸子は少し驚いた様子で青年に尋ねた。青年は気にせず、普通に答える。
               「ただの盲腸ですよ。あれ?僕、幸子さんに死ぬような病だとか言いましたっけ?」
               「私、あなたの死が近いからてっきり私が見えているのかと思っていたわよ!」
               青年はあまりにも幸子が凄い勢いで言ってきたので、ビクッと体が動いてしまった。
               「大体、なんでそんなにゲッソリしてるのよ!?顔だけみたら死にかけよ!」
               「だって、絶食しないとダメだから…。」
               このようなやりとりが終わる頃には、時計の針は十一時を過ぎていた…。
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