君が笑ってくれるまで




「一ノ宮!一ノ宮!起きなさい!」


.....眠い。5時間めの昼下がりの数学なんて起きていられるわけがない。

「.......はい。おきましたけど、なにか?」

「なにか?じゃないだろ。寝るな!」
杉浦は今にも持っているチョークを投げつけてきそうなくらい、俺を睨んでいる。いつもの光景なので、生徒たちは無表情だ。

これ以上杉浦を怒らせても意味がないので、俺は黙って、窓をみた。

今日も気持ちいいくらいに天気がいい。寒かった冬も終わって、やっと心地よい春がやってくる。そう思うと、なんだか気分がよくなって、また寝てしまいそうになった。


「一ノ宮!なに外ばっかみてるんだ!そんなに暇ならこの問題解いてみろ!黒板にかきにこい!」

杉浦は、今日そうとう機嫌が悪いらしい。俺は、仕方なく立ち上がり、黒板のほうへ向かった。

杉浦が出した問題は、考えなくてもある程度分かった。
黒板にスラスラとかいていく俺をみて、杉浦は何も言えないようだ。

「........正解だ。」

俺の目を見ないで、杉浦は悔しそうに言った。

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