君が笑ってくれるまで





俺は、遼に手短に説明して、協力を頼んだ。

「わかった。いいよ。この付近の高校を案内したらいいんだろ?」

遼は、本当にこの付近の高校にはくわしい。たぶん、いろんな高校の女の子と遊んだことがあるからだろう。

「ここが、桜蘭高校。女子校。ちなみに俺がこの前声かけたのはここの子だぜ。女子校っていっても、となりに姫野高校っていう男子校があるから、共学のようなもんだな。」


たしかに桜蘭高校のまわりには男がいっぱいいた。彼女待ちかナンパか....
そういう男は、俺らのことをものめずらしそうに見てきた。
たぶん、この制服のせいだろう。
成章学院高校の制服は、この辺で知らないものはいないほど有名だ。
この制服で歩くだけで、
「みてみて!成章の人だ!」
と、ものすごく憧れの目で見られる。
俺は、そういうのが嫌だが、遼はこの制服を利用してナンパするときは学校がないときも制服だ。


桜蘭高校から生徒がでてきた。
授業が終わったらしい。
桜蘭高校の制服は、グレーのチェックスカートに、紺のブレザーに赤いリボンだ。

「遼、ここじゃないみたいだ。凛のスカートは紺だった。でも、ここの制服とけっこう似てる。赤いリボンも似てる。」


桜蘭高校は、7軒目だった。
ようやく、凛の制服に似てる制服を見つけた。
もう付近とは言えないくらい歩いた。

「ここじゃないとすると、俺が見当つけてる高校はあとひとつしかないな。でも、その高校ここからまだまだ歩くぜ。なにしろ丘の上に建ってるからな。」

「丘って、あの神風の丘のことか?」

「そうだ。」

神風の丘に建つ高校........

「神風高校か。」

「正解!覚悟しとけよ。絶対絡まれる。なにしろ俺ら成章の制服きてるんだから。」


神風高校、それは県内で最も偏差値が低く、荒れているので有名な高校だった。
当然そこに通う生徒のほとんどが、いわゆる不良とよばれるやつだ。
成章の生徒に配られる注意事項の紙にもいつも載っている。

『神風高校には近づかない。神風の丘にも特別な理由がない限り登らない。』







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