君が笑ってくれるまで




「礼央さ、今日空いてる?ちょっと付き合ってほしいとこあるんだけど。」

遼がこんな風に言ってくるのはいつものことだった。遼は、家に帰りたくないらしい。だからできるだけ、夜遅くまで遊んでいる。

「お前、またかよ。いいかげん彼女くらいつくれよ。」

遼は、街に出かけて、どっかの女子高生をナンパして遊ぶのが趣味なのだ。
俺はできる限り、遼に付き合ってきた。
遼は、俺がいうのもなんたが、顔がいい。しかも、金はある。女が寄ってこないわけがなかった。


「俺は彼女はつくらないよ。必要なときに好きなだけ遊びたいから。礼央もさっさと別れちゃいなよ?めんどくさいでしょ?」

俺は、遼のナンパに付き合ってはいたが、彼女がいた。付き合って3ヶ月しか経ってないが、俺はもう別れようと思っていた。

「言われなくても別れるよ。遼はいつまでこんなこと続けるわけ?ずっと彼女つくらないの?」

遼の楽天的な表情がいっきに曇った。

「彼女つくっても、一緒にはなれない。別れるの分かってて付き合うなんてできないね、俺には。」

遼はそう悲しそうにあしらった。


遼は、幼いときから結婚相手が決まっているらしい。もちろん、家のために結婚するのだ。
去年の春まで、遼には付き合ってる彼女がいた。しかし、その彼女と家の都合で別れさせられたのだ。
それからの遼は、恋愛に対してすべてが投げやりだった。
まるでなにかのゲームかのようにナンパを繰り返した。

俺はそんな遼を止めることができず、見守るしかなかった。

「わかった。いくよ。」


遼は、嬉しそうに笑った。
「いいスポット見つけたんだよね。礼央も新しい子みつけたらいいよ。」




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