君が笑ってくれるまで
礼央が連れてきたのは、いつもと同じような繁華街だった。
学校を終えて遊ぶ、女子高生が集合するようなところだ。
「礼央、あの子かわいくね?タイプだわ俺。」
遼は、すでに狩りモードだ。
行き交う女の子を、ギラギラした目でみている。
遼が言う女の子を見ると、確かに可愛かった。遼は結構面食いだから、可愛い子にしか声をかけない。
俺が黙っていると、遼はすでにその女の子に近づいていた。
俺は辺りを見回した。遼を近くで待てるようなところを探した。
そのときだった。
ガンッ
「痛っ!」
誰かにぶつかられて、俺は後ろに倒れてしまった。
ぶつかってきたのは、俺より20センチくらい背が低い女の子だった。
俺が下で女の子が上でというこの光景は、街中ではすぐに注目を集めてしまった。
「ごめんなさい」
ぶつかってきた女の子は、小さく言った。そして、足早にその場をあとにした。
俺は、あまりにも突然のことで、言葉が出なかった。
でもすぐに駆け出した。
さっきぶつかってきた女の子を追いかけた。
どうしても、探さなくてはならなかった。