君が笑ってくれるまで
角を一つ曲がったところで、俺はさっきの子をみつけた。
そして、大声で声をかけた
「あの!すいません!!」
俺の声に反応したのか、その子は止まった。
でも、ふりかえろうとはしない。
俺は静かに近づいた。
「来ないで!!」
その子はそう叫んだ。
俺は構わず近づいて、その子の肩に手をあてて、
「凛.....だよな?」
凛は、なにも言わなかった。
それが、その子が凛である証拠だった。
凛はゆっくり振り返り、俺を見つめた。
その目は、10年前別れたときと変わらない冷たくて暗い目だった。
俺が忘れたくてしかたがなかった10年前の出来事が脳裏に鮮明に蘇ってきた。