君が笑ってくれるまで
過去
授業はうわのそら。
おまけに、今日は眠ることもできない。
寝ようとすると、凛のことが蘇ってくる。
昨日ぶつかったのが凛だと、すぐにはわからなかった。でも、起き上がろうとしたとき目に入ったのは、首の下のほくろだった。
凛には、首の下に星型のようなほくろがあるのを俺はすぐに思い出した。
凛は俺だということにすぐに気づいたのだろう。
「おい!なにぼーっとしてんだよ。授業終わったぜ。礼央」
気づいたら、遼がおれのほっぺたをつねっていた。
「痛いな。ちょっと考え事だよ。」
「礼央さ、俺に隠し事してない?」
遼がいきなりマジな顔できいてきた。
「してないよ。」
「一ノ瀬玲」
そう言って遼は一冊の雑誌をバシッと俺の前に置いた。
「誰だよそれそんなの...」
俺は息をのんだ。
雑誌の中で微笑むのは、昨日会った凛そのものだったからだ。
「知らないとはゆわせないぞ。昨日、俺、お前のこと見てたんだからさ。一ノ瀬玲と一緒にいるとこをさ。」
凛が、、、モデルを?
「遼、一ノ瀬玲っていうのは、どんなモデルだ?」
「とぼけるのはやめろよ。昨日会ってただろ。そんなこと、お前は知ってるはずだろ。」
俺は、遼に話すべきか迷った。
凛のことを説明するには、当然俺の過去を話さなければならない。