ドSな君の、恋愛講座。
「ガキにはわかんねえよ。ほら、早く解け。」

「わかるし!大和は優しくできなそうだもんな!桜子に振られるぞー!」

…近頃のガキはませせて困る。



「ねえ、大和!これ、お向かいに持って行ってくれない?」

帰る早々、玄関先で手渡される回覧板と紙袋。

「なにこれ?」

「枇杷!おじいちゃんがくれたのよ。庭でなったんだって。たくさんあるから、おすそわけ。さくちゃんもことちゃんもたしか枇杷、好きだったよね。」

ちらりと向かいの家を見る。

…さく、いるのかな。

「ほら、行ってきて。今揚げ物してるから、目が離せないの。海音はピアノだし、ね。」

笑顔でそう言うと、母さんはバタンと玄関のドアを閉めてしまった。

仕方なく向かいの玄関に立つ。

チャイムを押すと、中から出てきたのは…

「あっ、大和君!」

こっこだった。

心の中でどこか安心してる自分がいる。

「これ、じいちゃん家でなった枇杷だって。こっこ、枇杷好きなの?」


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