ドSな君の、恋愛講座。
やっぱり、ただからかってるだけなのかな。

そう思うと、苦しくて仕方ない。

廊下をとぼとぼ歩いてると、またもや前から歩いてきた人にぶつかりそうになる。

バシャッ

そしてぶつかった拍子にその人が持っていた紙コップの中身が私にかかる。

白いセーラー服がオレンジ色に染まっていく。

あーあ、またやっちゃった。

ほんと、私ってどんくさい。

「わっ！ごめん！」

「すみません…」

その人は慌ててハンカチを取り出し、わたしの制服を拭こうとして手を止めた。

「えっと、…俺、拭かないほうがいいよね？」

顔を上げると、そこには困った表情の背の高い男の子。

…あっ、そうだよね。

「ごめんなさい！平気です！洗えば落ちるし、もう帰るところなんで！」

これ以上みんなに迷惑かけたくないもん。

体調が良くないって言って、先に帰ろう。

「そのままじゃ帰せないよ、とりあえず、これ着て。」

手渡されたのは黒のパーカ。
< 127 / 186 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop