ドSな君の、恋愛講座。
私は言われるがまま、そのパーカを羽織る。

なんかこのパーカ、修学旅行の時大和が貸してくれたのと似てる。

こんな時でも大和のこと考えちゃうなんて、わたし、どうしかしてるよね。

「クリーニング代払います!えっと、すみれが丘の人だよな?」

く、クリーニング代!?

そんな!

私がボーッとしてて勝手にぶつかっていっただけなのに!

「いいですいいです!本当に平気なので!」

「でも…」

「本当に大丈夫ですから!」

そう言うと、その人は自分の髪の毛をクシャッとして。

「じゃあそのパーカ、着て帰って。返さなくていいから。」

えっ!?

そんな!本当にいいのに!

「返します!」

私はパーカを脱ごうとする。

「いやいや…ってこのままじゃ埒が明かないね。うーん、じゃあ名前教えて?俺、従兄弟ですみれが丘に行ったやつがいるからそいつに言っとくよ。」

「鈴原桜子です…」

「俺は有川圭吾。そのすみれが丘の従兄弟、二年なんだけど、わかるかな?」
< 128 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop