ドSな君の、恋愛講座。
「何やってんだよ?」

そう言いながらこちらへ歩いてくる大和。

「大和、先に行ってるね?あまり遅れちゃダメだよ?」

その可愛い人は少し大和の腕に触れると、私に軽く一礼して廊下の向こうに走っていった。

大和、って呼んだ。

心の中に黒いもやもやが渦巻いてくる。

「さく?」

「っ…触らないで!」

思わず伸びてきたその手を振り払ってしまう。

大和は何も悪くない。

悪いのは勝手に嫉妬している醜い私なのに。

なのにもう、止められない。

「こっち向けよ、さく。」

「やだっ…離してよ!」

抵抗するけど大和の力にかなうはずもなく、あっけなく掴まれるその手首。

「…んっ!」

壁に体を押し付けられて、唇を塞がれた。

こんなところで、誰かに見られるかもしれないのに。

なのにぜんぜん離してくれない。

絶え間なく続く大和の甘いキスに頭がクラクラしてくる。

もう、立っていられない。
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