ドSな君の、恋愛講座。
「ごめん、自分で言っといて照れてる…」

恥ずかしそうに口元を抑える有川君。

「そろそろ行こうか。」

お店を出ると近くにあったペットショップに寄ったり、町中をぶらぶらしたりして、その間も有川君はずっと会話が途切れないように話をしてくれた。

本当に優しい人だな。

私、今日この人を振るんだ…

そう思うと胸が痛む。

それでもこのまま中途半端でいることが一番失礼だと思うから。


「もう六時だ。駅まで送る。」

時計を見ながら言った有川くん。

言わなきゃ、私の気持ち。

「有川君、ちょっとだけいいかな?」

私は公園のベンチに誘った。

二人で並んで座るベンチは少し狭くて。

言わなきゃ、ちゃんと。

決意を決めて口をひらいた。

「ごめんなさい、私、有川君とお付き合いできません。」

顔を上げるのが怖くて、下を向いたまま言った。

言ってしまった…

「そっか…やっぱり速水が好き?」
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