ドSな君の、恋愛講座。
高校に入って、やっとさくに告白しようと思っていたのに。

さくが嬉しそうに話すそいつは同じ電車に毎朝乗ってくる斎藤、というさくよりひと駅先の公立高校に通う男。

優しくて穏やか、爽やかでかっこいい。

そんなふうに頬を染めて話すさく。

なんでだよ、なんで俺じゃないの?

そんなのわかってる、告白さえしてないんだから。

だからこれからだったのに。

油断していた自分を恨んだ。

「バッカだな、大和、あんな可愛い子男がほっとくわけないじゃん。」

同じ高校の中学から同じの大本洋貴がため息をつく。

「なんだよ、洋貴もさくのこと可愛いって思ってたのかよ!」

「はいはい、別に好きとかじゃないから。でもよく考えてみなよ、桜子ちゃん男がいかにも好きそうなタイプじゃん。」

色白の透き通るような肌、いつも少しだけ桜色の頬。

くりくりとした少しだけ目尻の下がった大きな瞳。

顔も体も小さくて、華奢で。

黒い肩辺りのボブ。

清純そうで。
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