ドSな君の、恋愛講座。
風見は下を向いたまま。

どうしよう、この状況。

「…わ、私、…は、はや、速水君のことが、スッ、好きです!」

すると突然風見は顔を上げていった。

なんとなく察してはいた。

風見の表情、声、態度。

だけど内心は少し驚いている。

だってなんで俺なんか。

たしかに同じ委員会だけど、話したことも数回で、まだお互いのことを全然知らないのに。

「なんで俺なの?」

「私、一度速水君に助けられたんです。」

え?そんなことしたっけ。

記憶を巡らしてみるけど、思い出せない。

「入学したばかりの時、私、学級委員を半ば強引に押し付けられて…それで放課後、一人で残って作業してたんです。そしたら教室に戻ってきた速水君が手伝ってくれた。「二人でやったほうが早いよ。」って。」

ああ、そういえばそんなことがあったような。

確か一年のとき、教室に竹刀忘れて取りに行ったんだ。

そしたら風見が一人でプリントをステイプラーで止めてた。
< 71 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop