Successful Failure -短編集-
「ねえ、ムラッときた?」
女性は、俺を見下ろして聞いた。
「いえ、馬鹿だなっと・・・」
「そうだよねー。でも、それだけのことなんだよ、実際。他人のこんなカミングアウトを聞いたところで、周りにどう思われようと関係なくない?もし、これを聞いてる人がいたとしてもどうせクリスマスが来る頃にはそんなこと忘れてるんだよ」
女性は続けた。
「周りに見られてるって思って意識しても、実際、君が思ってるほど、周りは君のこと見てないんだよ。そりゃ、よっぽどイケメンだったりすると別だけださ。君は、そうでもないし」
そう言って女性は微笑んだ。
俺は、その女性の微笑みを見て二つのことを思った。
一つは、俺ってなんて馬鹿なことを気にしていたんだということ。
もう一つは・・・言えない。
いや、関係ない。
聞かれても構わない。
どうせ、周りは、俺のこと俺が思っているほど、見ちゃいないのだ。
俺は、女性の横に立ち、大きく息を吸った。