Successful Failure -短編集-
俺のカミングアウトを聞いた女性は、驚くこともなく、引くこともなく、俺の顔をじっと見ていた。
俺も彼女のその透き通った瞳をじっと見ていた。
耐え切れなくなったのか、女性が、ベンチの上から降りて、橋の上へと歩き出した。
俺は、ライトアップされたその橋に映る女性の後ろ姿を見ていた。
橋の真ん中に来たとき、女性は振り返って叫んだ。
「問題でーす!!私の職業はなんでしょうかー!?」
俺は、その問いに大声で答えた。
「大学病院の事務職員ー!!」
すると女性は、また大声で
「ブッブー!!正解は、薬剤師でしたー!!!」
そう答えた。