Successful Failure -短編集-




耐熱シールドに僅かでもひびが入っていると、大気圏突入時に燃え尽きてしまうように、この「世界」にもひびが入れば、そこから浸水していく。



その水は、ありとあらゆる生き物にとって必要とされている反面、その水の中で生きれる生き物はいない。



そんな液体が、ある日、隙間から浸水してきて、やがて、僕を殺した。



痛くて、暑くて、それに、胸が締め付けられるような、苦しみ。



苦しみ。



苦しみの波。



その波に飲まれ、その波に逆らおうとした。



逆らえるほどの波なら、死なない。



殺されない。




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