Successful Failure -短編集-
「ねえ、水島君。これ、作ったんだけど、どうかな?」
「花沢(はなざわ)さんが作ったの?うまいね!」
「ほんとー!?じゃあ、じゃあ、今度水島君にも作ってあげるね!」
俺は、チラッと後ろを振り返った。
廊下側の一番後ろの席、吉良明日香だ。
「おーい、キラキラちゃーん。何読んでるのかなー?んー?」
女子三人組の一人、押川(おしかわ)が吉良の読んでいる本を取り上げる。
「えー、何々・・・行政書士になるには・・・ふーん、あんた行政書士なんか目指してんのー?」
「すごーい。国家資格じゃん!」
押川達が騒ぎ立てる。
その騒ぎに俺も、花沢をはじめ、俺の周りにいた女子達も、みんながそこに注目する。
「じゃあ、私もキラキラちゃんに負けないように行政書士目指すから、これ、借りてくねー」
そう言って、押川達は、教室を出て行った。
「相変わらずだねー、キラキラちゃん。何で言い返さないのかな・・・」
花沢がぽつりと言ったその言葉に、俺はため息が出た。
そんな吉良明日香に、キラキラちゃんと俺は親しくならなければいけないのだ。