Successful Failure -短編集-
別に親しくなるのは、かまわない。
ただ、そのせいで俺まで偏見の目が向けられるのはごめんだ。
学園の人気は保っていたい。
太田は、吉良のメールアドレスが欲しい。
そのために、俺は、吉良のメールアドレスを聞き、メールをし、一緒に遊びに行き、親しくなり、それから太田のことを紹介し、太田に吉良のメールアドレスを教える・・・
俺が吉良にメールアドレスを聞き、それを太田に教える方がよっぽどショートカットになるし、俺への偏見もないまま終わるのだが、太田はそれを許してはくれない。
あくまでも親しくなったうえでとのことだ。
どうする?
「お、その本、何読んでるの?」
「・・・行政書士の本です・・・」
「へえ!吉良は行政書士になりたいのかー!」
「・・・はい。私には無理でしょうか・・・?」
「いや、そんなことねーよ。絶対なれるって。俺、保証するから!」
「本当ですか?」
「ああ。あ、そうだ。俺、吉良のメールアドレス知らなかったんだった。よかったら教えてくれないか?」