Successful Failure -短編集-
そうか!
わかったぞ!メールアドレスをゲットする方法が。
このルーズリーフの紙切れみたいに、手紙を書き、それから聞き出すって方法があるじゃないか。
俺は、メモ帳を千切り、夢中でペンを走らせた。
「同じクラスの水島宏介です。話したいことがあるので、放課後、屋上にきてもらえませんか?」
たったこれだけの文章だが、まるで作家にでもなったかのような勢いで書いた。
あとは、これを吉良に渡すだけだ。
渡すのは簡単だ。
机の上にでも置いておけばいい。
いや、吉良の机の上は危ない。
いつ、誰がノートをラクガキしに来るかわからない。
となると、ぶつかった拍子にそっと落とすか?
いや、これもダメだ。
気づかない可能性もある。
やっぱり、直接渡そう。
それなら3秒あれば十分だ。
キーンコーンカーンコーン
ちょうどチャイムが鳴った。
やるとすれば今だ。