Successful Failure -短編集-
ラバーバンドをあえて残したのには、多分、私に対しての当てつけであると思う。
あの時の、憾み、忘れないぞとの。
よくもまあ、ここまで人を憾めるものだと、感心した。
これを警察に報告すれば、Sは死刑確実。
ただ、私は、そんなことで終わらせたくなかった。
人を殺したという罪を一生背負って生きていく。
それが、人間にとって一番つらいことだと思ったからだ。
そして、私は、そのラバーバンドをさも、自分のもののように、自分の左腕につけた。
こうして、警察を呼び、自殺との見解に至ったわけだ。